たぐち・りはち

明治40(1907)年、長野県西筑摩郡読書村（現・木曽郡南木曽町）に農家の長男として生まれる。大正11(1922)年、大桑尋常小高等科を卒業。昭和３(1928)年には兵役で中国に従軍した。除隊後の昭和５(1930)年、岐阜県益田郡萩原町（現・下呂市）に田口自動車を創業。月賦で購入した中古トラック1台だけで運輸業を開始した。昭和８(1933)年に大垣市へ移転し、同16(1941)年には西濃トラック運輸を創業。しかし、その翌年には戦時陸運統制令により同業他社との合同集約を余儀なくされた。戦後は合同会社から分離して水都産業を創業。昭和21(1946)年に事業を再開すると、同23(1948)年には西濃トラック運輸を再興した。「長距離輸送は鉄道」が常識だった当時、トラックによる長距離輸送を計画して運輸省へ免許申請。エリート揃いのキャリア官僚を相手にねばり強く交渉し、長距離トラック輸送を実現させた。昭和30(1955)年、西濃運輸に社名変更。同社を保有車両６千台超の陸運企業へと発展させ〝トラック王〟と称された。大垣商工会議所会頭、全日本トラック協会会長など公職を歴任。昭和56(1981)年には社長職を長男の利夫氏（故人1932～1998）へ譲って会長に退いた。その翌年の昭和57(1982)年、75歳で死去。