ながたに・よしお

大正12(1923) 年、東京生まれ。永谷家は、江戸中期に山城国湯谷村(現在の京都府宇治田原町)で「青製煎茶製法」を開発した農家、永谷宗七郎(後の永谷宗円= 1681~1778 年)までさかのぼる旧家で、生家の「東京・永谷家」も茶製造業を営んでいた。東京市立京橋商業学校(現在の東京都立芝商業高校)を卒業後、太平洋戦争に従軍。復員後は家業の再建を目指し、焼失してしまった設備などの復旧に取り組んだ。昭和27(1952) 年、自ら開発した「江戸風味お茶づけ海苔」を発売すると瞬く間に大ヒット商品となり、翌年の昭和28(1953)年には早くも「株式会社永谷園本舗」を設立した。和風料理に革新的なアイデアを取り入れ、「お茶づけ」シリーズに続いて「あさげ」などのインスタント味噌汁や「松茸の味お吸いもの」、「すし太郎」などのヒット商品を矢継ぎ早にリリース。その一方で、創業者として「味ひとすじ」の企業理念を社員に徹底して叩き込んだ。有名人を続々と起用したテレビCMや大相撲での懸賞幕にはいまも「味ひとすじ永谷園」のブランド・ステートメントが導入されている。平成17(2005) 年、82 歳で死去。