うさみ・まこと

明治34(1901)年生まれ。東京都出身。父の勝夫は富山県知事、東京府知事などを歴任した内務官僚。母の実兄は三井財閥の大番頭で日銀総裁や大蔵大臣などを歴任した池田成彬。母の妹の夫は三菱銀行頭取や全国銀行協会連合会（全銀協の前身）会長を歴任した加藤武男。大正13(1924)年、慶應義塾大学経済学部を卒業。当時、三井銀行常務だった伯父の池田成彬から三菱銀行への入行を勧められ、三菱銀行常務だった叔父の加藤武男もこれを快諾したため三菱銀行に入行。池田、加藤とも慶應義塾大学理財科（経済学部の前身）の出身で、甥の宇佐美は同門・直系の後輩にあたった。上海支店、ニューヨーク支店勤務などを経て昭和29(1954)年常務、同34(1959)年副頭取、同36(1961)年には頭取に就任。全銀協の会長に就任すると、通商産業省の佐橋滋事務次官らが制定を目指していた特定産業振興臨時措置法案をめぐり激しく対立し、「官僚統制」であるとしてこれを廃案に追い込んだ。昭和39(1964)年、佐藤栄作首相からの要請を受諾して日本銀行総裁に就任。戦後初めての民間銀行出身の日銀総裁として金融政策を舵取りした。昭和58(1983)年、82歳で死去。