持続化給付金 5社に1社が受給

中小6割が支援必要


 新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績が落ちた事業者を対象に最大200万円を支給する「持続化給付金」を、中小事業者の5社に1社が受給していることが分かった。金融機関の無利子融資などを合わせると、中小事業者の半数が何らかの新型コロナ支援策を利用している。コロナ禍による経済の落ち込みが事業者に深刻なダメージを与えていることが、データからも浮き彫りとなっている。


 東京商工リサーチが7月28日〜8月11日にインターネット上で実施した調査(有効回答1万3722件)によれば、新型コロナウイルスに関連した国や自治体、金融機関の支援策を「利用した」と答えた事業者は5901社で、全体の45・51%を占めた。

 

 また「今後利用する可能性がある」も19・04%あり、合わせて6割以上が経営の維持のために何らかの支援策を必要としていることが分かった。

 

 さらにこれを資本金1億円以下の中小事業者に絞ると、「利用した」が49・91%、「可能性がある」が19・85%に増加する(グラフ1)。一方、資本金1億円超の大企業では「利用予定がない」が62・45%と過半数を占め、企業規模によって新型コロナによるダメージに大きな開きがあることが分かった。

 

一般個人向けの業種が大半

 また資金繰り支援策を「利用した」と回答した事業者を業種別にみると、最も利用率が高かったのは、「飲食店」の89・0%(91社中81社)だった。

 

 以下、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「その他の生活関連サービス業」の82・8%(76社中63社)、「宿泊業」の81・4 %(54社中44社)、「道路旅客運送業」の78・3%(37社中29社)が続く。トップ10は、一般個人向けの業種が大半を占めている。

 

 実際に、どの支援策を利用したかという質問に対して、最も多い回答は「持続化給付金」で、支援策を利用した事業者の49・9%を占めた(複数回答可)。これは回答全体の約5分の1に当たる数でもある。

 

 同給付金は事業者に最大200万円を支給するものだが、任意の1カ月で売上が5割以下に落ちていることが求められる。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの事業者が収入の半減という事態に晒されていることが浮き彫りとなっている。

 

無利子融資も半数が利用

 次に利用が多かったのが「民間金融機関の実質無利子・無担保融資」で49・4%、さらに「雇用調整助成金」が48・2%と続き、ともに持続化給付金と並んで高い割合となった(グラフ2)

 

 それに比べると「日本政策金融公庫の実質無利子・無担保融資」は39%と、低くはないものの先の3つの支援策とは差がある結果となった。中小事業者の資金繰りを支えるインフラとしては、民間金融機関が存在感を示したといえるだろう。

 

 持続化給付金は前年同月からの売上の落ち込みの度合いによって受給額が変わるため、実際には給付を受けられる状況であっても、今後を見据えて利用を控えている事業者も一定数いるとみられる。

 

 また「8月以降に売上高が前年同月比で50%以下に落ち込む可能性があるか」との質問に対しては、回答した中小事業者の44・62%が「ある」と答えていることからも、同給付金を受給しようとするケースが今後も増えるものと予想される。

(2020/10/01更新)