2020年の基準地価が公表された。都道府県が毎年7月1日時点の地価を調査、国土交通省がとりまとめ発表するもの。
土地取引や固定資産税評価の目安となり、1月1日時点の地価を調べて発表する公示地価を補完するものとも言われる。
今年の全国の基準地価の平均(全用途)は前年度比0・6%減少し、バブル期以来27年ぶりに上昇した18年、さらに伸び率を拡大した19年から、一転してマイナスに落ち込んだ。新型コロナウイルスの感染拡大が、地価にも影響したかたちだ。
三大都市圏の商業地もマイナス0・3%に転じたほか、プラスを維持する札幌・仙台・広島・福岡の地方中枢都市も上げ幅が縮小した。前年に28年ぶりのプラスへと転じた地方の商業地も、1年でマイナスに戻ることとなってしまった(表1)。
国交省は地価が下落した要因を、「新型コロナウイルス感染症の影響による先行き不透明感から需要が弱まり、総じて上昇幅の縮小、上昇から横ばいまたは下落への転化となった」と分析。またプラスを維持した地点についても、「1年間の後半は横ばいまたは下落となっている地点が多いと考えられる」としている。三大都市圏の住宅地は、東京と大阪が7年ぶり、愛知が8年ぶりに下落へと転じた。
その一方で、外国人に人気の観光地では前年より3割以上の地価上昇を示した地点もある。全国の地価上昇率ランキング(表2)には、外国人に人気の高い沖縄や北海道のリゾートエリアが並んだ。ただし上昇率は大幅に縮小していて、1年間の後半で地価高騰に大ブレーキがかかったことをうかがわせる。
地価高順位表を見るとほぼ顔ぶれに変化はなく、トップは8年連続で東京都中央区の「銀座2- 6- 7」だった。ただし価格は前年から5・1%下落、1平方メートル当たり4100万円で220万円のマイナスを記録した。また、上位10地点のうち5地点が前年より価格を落とす結果となっている(表3)。
(2020/11/02更新)