【走る走る】(2015年12月号)


「いつもナースさんたちが忙しそうに走り回っている」。母親が公立の総合病院に入院しているAさんは、見舞いに訪れた際の印象をこう話す。「皆さん、きびきびと動いていて、とっても仕事熱心な病院だなと思いました」という。その感想を隣のベッドの患者さんに伝えると、「この病院、人手不足だから」と教えられたそう▼関西の民間病院には、院内のあちらこちらに「盗難注意」と書かれた紙が貼られている。人手不足が原因で、病棟への人の出入りを管理しきれないためだという。入院患者によると「見舞い客や付き添い人、患者を装った泥棒が多いので、気をつけなアカン」とのこと▼病院を狙った窃盗犯は、入院患者が検査や診療でベッドから離れたスキに病室へ忍び込み、小銭などを盗んで走り去るという手口らしい▼年末はドクターも慌しい。クリニックだけの忘年会ならばまだしも、日ごろお世話になっているご近所の調剤薬局のスタッフさんまで合流するとなると、スポンサー兼幹事役として走り回ることになる。年末年始は医師会や学会などの行事も目白押しだから、できる限り「今年のうちに」処理できるものは済ませておきたい▼「師走」。慢性的なマンパワーの不足を解消して、医師や看護師、そしてドロボーが院内を走り回ることがないようにしたい。