コロナ禍は、一般傷病の患者にも多くの負担を強いている。予定していた手術が延期になったり、患者自身が〝不要不急〟と判断して受診を控えたり、救急搬送が可能な医療機関の減少により交通事故負傷者がなかなか受け入れてもらえなかったり▼政府は2025年度までの第11次交通安全基本計画をまとめた。道路幅が狭い生活道路の歩行空間整備を図り、車両速度抑制などのゾーン対策に取り組む。生活道路でも使える可搬式速度違反自動取締装置の整備拡充も推進するという▼コロナ禍によって顕在化してきた交通問題にも着手する。巣ごもり需要で利用が増加している宅配代行サービスの自転車については、その危険運転や交通マナーの悪さが指摘されていることから、自転車事故防止のための交通指導を強化する。また、社会問題化しているあおり運転・妨害運転など、悪質性の高い交通違反の取り締まりも徹底する▼交通安全基本計画では、25年までの5年間で交通事故死者数を年間2千人以下、重傷者数を同2万2千人以下とする目標を掲げている。事故そのものが減れば救急救命の現場など、医療従事者の負担も軽減できる。「感染者を減らす」ことを目指すコロナ対策も、「事故を減らす」ための交通安全対策も〝計画〟が肝心ということだ。