【地域医療構想】(2017年5月号)


47都道府県が「地域医療構想」をまとめた。2025年の病院のベッド数を、13年時点の約135万床から15万6千床減らす計画だという。削減率はじつに11・6%。首都圏などを除く41道府県でベッド数が減り、8県では削減率が3割を超える▼地域医療構想は、増え続ける医療費の削減を目的に策定されたもの。高齢化のピークとされる25年時点のベッド数を推計した結果、全国で119万799床という結果になった。これは内閣官房の専門調査会が15年に示した削減計画と符合する数字だ。どちらも人口減少などで現行のベッド数が〝過剰〞になると予測している▼削減率が3割を超えたのは鹿児島、熊本、富山、宮崎、佐賀、徳島、山口、高知の8県。2割台は19県。熊本、鹿児島、北海道の3道県では削減数が1万床以上となっている▼「入院患者を医療施設から自宅へ戻す」といえば聞こえはいいが、それを実現するには在宅での医療・介護サービスの充実が欠かせないはず。医師不足が問題になっているが、在宅医療・介護の現場では、慢性的な人手不足がより深刻だ。そんな中、衆院で介護保険法改正案が強行採決された。31本もの法改正を一括したこの法案の審議時間はわずか20時間▼増加する在宅患者への医療提供は、開業医の大きな課題だ。