名前が付いた。「COVID‒19」。命名したのは世界保健機関(WHO)。新型コロナウイルスの感染を原因とする肺炎などの症状の名称だ▼SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、鳥インフルエンザなど、次から次に厄介なウイルスが襲ってくるが、感染したくて感染する患者はいない。赴任、出張、留学、旅行など目的はさまざまだろうが、仕事であれ遊びであれ、渡航先で感染してしまったとしたら、それは等しく不運なだけだ▼政府は中国の武漢市(湖北省)に滞在する日本人が帰国できるように、チャーター機を飛ばした。強制退去を命じたわけではなく、帰国を希望する人のために用意したチャーター便だから、その費用は原則として個人負担になりそうだ▼これについて、「国が負担するべき」という声もある。国民の生命と財産を守るために税金を使うのは当然だという意見だ▼「あの山の向うに困っている人がいるけれど、自分では助けに行けないから、国に費用を託して、自分の代わりに助けに行ってもらう」、そのための〝費用〞が「税金」だと言った人もいる▼飛行機代もホテル代も医療費も後の話だ。新型コロナウイルスが猛威を振るい、肺炎感染が拡大することのないように税金を投じるのが先決だ。