【依存症】(2018年9月号)


ギャンブル依存症という病気があるくらいだから、コレもきっとあるとは思っていた。「インターネット・ゲーム依存症」。脳の機能にも影響を及ぼしているようで、この症状のひとは善悪や価値判断、意欲や自己抑制に重要な役割を果たす「眼窩前頭皮質」が委縮してしまっているという▼依存度が大きいほどこの部分の委縮は顕著で、さらには社会性や認知機能を制御する脳の部位も変質している可能性が高いと指摘されている。これは麻薬中毒患者の脳と似た状態だという▼ギャンブル依存症が、以前は単なる「バクチ好き」と思われていたように、これまでは「ゲームのやり過ぎ」程度に思われていたひとが病気だと診断されるわけだ。世界保健機構(WHO)ではスマホのオンラインゲームなどに過度に依存する「ゲーム障害」を、新たな疾病であると認定している▼薬物やギャンブルとは異なり、ネットゲームには悪いイメージがさほどない。しかし、いつでも、どこでも気軽に遊べる分、実際には薬物より厄介かもしれない▼国内のゲーム依存症患者は推計で約500万人。そして昨年のゲームの世界市場規模は10兆円超。ゲーム会社が急成長し、政府がカジノを推進するほど、依存症患者は増える。医療費も増大するわけだが、その原資は当然ながら税金だ。