１９８２年から90年まで連載された大友克洋の漫画『ＡＫＩＲＡ』は、２０１９年の東京が舞台の作品だ。アニメ映画化もされたので映像をご記憶の方も多いと思うが、作中の東京も２０２０年のオリンピック開催を控えているという設定だった▼２０１９年は消費税が導入されて30周年。３％でスタートした税率は、10月には10％へと引き上げられる。導入時、「大型間接税をはじめてしまえば、あとは際限なく税率の引き上げが繰り返される」と危惧された消費税。30年で３回目の引き上げ、税率10％となる増税のペースは、はたして早かったのか遅かったのか▼消費税導入を決めた竹下登首相は昭和から平成への改元時の総理大臣だ。消費税導入と前後してリクルート事件が発覚。ふるさと創生事業として全国の自治体へ一律１億円を支給するバラマキを実施した▼平成から次の元号への改元時に消費税の増税を予定し、その反動による景気の落ち込みに備えてバラマキを用意している現在の首相は、30年前と同じようなことをやっているわけだ▼消費税はサービスに対する付加価値税でもあるが、医療というサービスは30 年も非課税のままだ。２０１９年はベルリンの壁が崩壊して30周年。医療損税の壁も五輪開催までには打ち破りたい。