「#7119」をご存じだろうか。救急車を呼ぶべきかどうかを電話で相談する共通ダイヤルの番号だ。お年寄りが家の中で転んだり、風呂上りにめまいがしたり、食後に吐き気がしたり。安静にして経過をみればいいのか、それとも重篤な症状の前兆なのか、素人判断が生死を分けることもあり得る▼救急車の出動要請をためらうひともいる。「おおげさだ」「横になれば治る」と、患者自身が家族に119番をさせないケースも多いという。その一方で、緊急性が高くない症状でも、たびたび救急車を呼ぶひともいる。気軽に119番してしまう〝常連〞に対しては「タクシー代わりに使っている」といった批判も少なくない▼そこでこの共通ダイヤルが導入されたわけだが、消防庁によると、開設しているのは東京や福岡など7都府県と、政令市や複数自治体による広域圏の4市・地域のみ。相談員を24時間配置するための運営費が課題だ▼福岡県では年間3万件を超える相談のうち救急車の出動が必要なケースは3割程度だったという。「#7119」は不要不急の通報を減らすことで、本当に救急車が必要な命を守るホットラインにもなっている▼医療費を本気で削減したいのならば、国や自治体はこうした事業にこそ予算を割くべきだろう。