毎年毎年、進歩のないことはなはだしいがカレンダーを繰ってタメ息をつく。「はあ、今年も残り半分か」……。そして懲りもせず「下半期こそは」とつぶやく▼7月は英語で「July」。命名者は共和制ローマ末期の英雄、ジュリアス・シーザーだとされている。紀元前45年に新しい暦を採用したシーザーは7月の名称を自身の家門名に変更した。古典ラテン語での彼の名は「ガイウス・ユリウス・カエサル」。このユリウス暦は、グレゴリオ暦に改暦される1582年まで続いた。英雄の有名な言葉、「来て、見て、勝った」を真似れば、「変えて、名付けて、続いた」というところか▼「賽は投げられた」と言ってルビコン川を渡ったと伝えられているカエサルに限らず、ローマの歴代皇帝が賭博を好んだのは事実らしい。サイコロ博打どころでは物足りなくなると、剣闘士の生死までを賭けの対象として、民衆もそれに熱狂した▼「成長戦略の目玉」として首相は国内でのカジノ解禁を推し進める。それもそのはず、首相はカジノ合法化を推進する議員連盟の「最高顧問」。法律で指定した地域に〝限定容認〟するという▼商売には「賭けの要素」はあるが、決してバクチではない。誰かが損することを前提として成り立つギャンブルで「次こそは」などと熱くならずに、まずは「下半期こそは」と正業に打ち込みたい。