参議院議員121人の資産が公開された。昨年の選挙で当選したセンセイ方のものだ。このうち15人が「資産ゼロ」と報告していた。まさか選挙にお金がかかりすぎて、無一文になってしまったというわけではあるまい。あらためて報告しなければならないほどの資産は持っていないということだろう▼政党が選挙費用をすべて負担してくれたり、支援者が寄付をしてくれたり、政策を支持する人々がボランティアとして手伝ってくれたりするから、お金がなくても立候補しやすいのかもしれない。2世、3世といった世襲議員が増えるなかで、裸一貫から身を起こそうとする叩き上げの候補者に魅力を感じるのも人情だ▼しかし、121人中15人ものセンセイが「資産ゼロ」というのは本当だろうか。公表された資産には、家族名義のものや普通預金が含まれていないのだ。配偶者や親、子どもの名義で資産を集中させれば、報告書の上では「資産ゼロ」ということになる。財産を少なく見せるトリックが簡単に成立してしまうわけだ▼これを一般の納税者がやったとしたらただではすまない。税務調査で真っ先に調べられるのは家族名義の預貯金。「預けていただけ」などと言ったところで、贈与とみなされるのがおちだ▼税の公平性を確保する観点からも、センセイ方の贈与税調査は最低限必要だろう。