戦国武将、真田信繁(幸村)を主人公として描く大河ドラマ「真田丸」。真田家の家紋・旗印として知られる「六文銭」は、三途の川の渡し賃が六文であると信じられていたことから用いられたものだとされている▼仏教で「六道輪廻」といえば、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道の世界で生と死を繰り返すこと。六文銭も、この六道の考えに由来するもののようだ▼イギリスの作家、サマセット・モームの小説『月と六ペンス』は、ポール・ゴーギャンをモデルに、安定した生活を捨てて画家となり死後に名声を得た人物の生涯を描いた作品。「月」は人間を狂気に導く芸術的情熱、「六ペ ンス」は世俗的因習や絆を意味するという▼月は「夢」を、六ペンスは「現実」を指したものだと言い換えることもできる。夢と現実の狭間で思い悩む人生も、六道で生と死を繰り返す死生観も、まるで「回り双六」のよう▼さて、本紙はおかげさまで「創刊六周年」。毎号「思案六法」の挙句、締め切りに追われ、綱渡りで発行している様は、人生と同様、まさに「朽索の六馬を馭するが如し」▼相続の問題を抱える一族も、そして当編集部も「六親不和にして三宝の加護無し」。新聞発行にあたって、まさか神仏の助けを得ようなどとは考えないが、それでも「身内」の強固な結束は不可欠。〝争族〞ならばなおさらのことだ。