【代理店】(2014年12月号)


新しいアイデアを事業化しようと、ある若者が起業した。ベンチャー社長は市場をリサーチして商品を開発。資金繰りに奔走しながら販路開拓し、社内の組織や販売制度を整え、やっとの思いでアイデア商品をリリースする▼精魂込めて育て上げた商品の売上が堅実かつ順調に伸び、ようやく軌道に乗ったときに、それを大安売りする代理店があらわれる▼この代理店、もとは別のジャンルの商品を扱っていたが営業力不足でまったく売れず、借金苦に喘いでいた。そこで思いついたのが「本業であけた大きな穴を、ほかの商品の売上でカバーしよう」ということ。早速、堅実で順調なこの商品の取扱代理店となった▼借金を抱える代理店としては、たとえ薄利であってもジャンジャン売上を立てなければ首が回らなくなるから、契約で定められている最低価格などは完全に無視。それでも売上が伸びなくなると、本社には内緒でお客に過剰なまでの「オマケ」やサービスを〝約束〟してしまう。深夜の通販番組のように「1つ買うともう1つプレゼント」といった大盤振る舞いだ▼怒った本社は代理店契約を解消。しかし、特典を〝約束〟されていたお客からはクレームが続出。裁判まで起こされて会社と商品の信用は失墜し、ついには倒産……▼代理店や営業社員がこうした不正を働いていないか、常にチェックが必要だ。