9月は「防災」の月だ。大正12年9月1日に発生した関東大震災にちなみ、この日は「防災の日」とされ、防災の日を含む1週間は「防災週間」とされている▼この日はまた、雑節の二百十日でもある。立春から210日目にあたるこの時期は台風が多く来襲することから「災害への備えを怠らないように」との戒めも込められている▼昭和34年9月26日、和歌山県の潮岬に上陸した台風15号は紀伊半島から東海地方全域に壊滅的な打撃を与え、ほぼ全国にわたって甚大な被害を及ぼした。とくに伊勢湾沿岸の愛知県と三重県の被害は大きく、犠牲者は5098人(死者4697人・行方不明者401人)にものぼった。伊勢湾台風である▼3千人以上の犠牲者を出した室戸台風、枕崎台風とあわせて「昭和の三大台風」とされ、そのなかでも最悪の被害をもたらした伊勢湾台風。平成7年に阪神・淡路大震災が発生するまで、戦後の自然災害で最大・最悪のものだった▼2年後の昭和36年に施行された災害対策基本法は、この伊勢湾台風を教訓として成立した。東日本大震災発生後の平成25年に気象庁が運用を開始した特別警報も、台風については伊勢湾台風クラスを基準としている▼伊勢湾台風が発生した1959年から今年で60年。教訓を無駄にすることなく、この9月は防災の意識を強く持ちたい。