「元日や上々吉の浅黄空」。小林一茶には正月の句が数多くある。「上々吉」とは、このうえなく良い、きわめて縁起が良い、といった意味。「浅黄」は浅葱の当て字で、青色に近い藍色のこと。つまり「元日から青空で縁起が良い」といった意味の句だ▼2016年がスタートする。3月26日には北海道新幹線の新青森~新函館北斗駅間が開業。4月1日からは改正電気事業法によって電力の完全自由化がはじまる。5月には三重県の伊勢志摩でG8サミットが開かれ、6月19日には選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公職選挙法が施行される▼「這え笑え二つになるぞ今日からは」は、正月、数え年で2歳になる子どもの成長を祝った一茶の句。18歳から投票できるようになる今年、若い世代にはよく「考え」て、その結果「笑え」る社会となるための1票を投じて欲しい。その最初の機会となる参院選は7月に予定されている▼リオデジャネイロ五輪は8月に開催され、米国大統領選は11月8日が投票日▼2016年は「二・二六事件」から80周年、「昭和」がはじまってから90周年。そしてチェルノブイリ原発事故から30年、「9・11」の米国同時多発テロ事件から15年、「3・11」の東日本大震災から5年が経過する年でもある▼災害や事件・事故の記憶を風化させることなく今年こそ「上々吉」の1年としたい。