ハリソン・フォードが主演したSF映画『ブレードランナー』は1982年に公開された作品。監督は『エイリアン』などのヒット作で知られるリドリー・スコット。フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』が原作だ。ネオ・ノワールを基調とした暗く退廃的な近未来のビジュアルが、これ以降に発表されたSF作品に大きな影響を与えたとされている▼作中に多数の日本語が登場する作品でもある。舞台となっているロサンゼルスの街には日本語の看板、ネオンサイン、落書きなどが随所にみられ、日本語による会話も多用されている。こうしたSF世界の風景描写が、「サイバーパンク」の代表作のひとつと評価される理由だろう▼さて、2019年がはじまる。ブレードランナーの時代設定も2019年。作品では、遺伝子工学技術の進歩により人造人間が発明されているが、現実の世界では人工知能(AI)がクローズアップされはじめた段階だ▼あまりにも早いテクノロジーの進化の速度に脅威を感じる身としては、映画と現実とのギャップに少しだけほっとする。しかし、ゲノム編集技術を使ってヒトの遺伝子を改変し、双子が生まれたなどと聞くとたちまち不安になる▼2019年。猪突猛進も結構だが、立ち止まって考える時間も大切にしたい。