3月号の本欄を書く。2011年3月11日午後2時46分―。「あの日」から9年が経過する。そして夏には〝復興五輪〞が開幕する▼東京五輪招致のプレゼンで原発汚染水の状況について、首相は「アンダー・コントロール(制御されている)」と言い切った。7年前のことだ。最初は「アンコントローラブル(手に余る)」と言い間違えたのかと思った▼プレゼンは虚々実々の駆け引きもあるから、美点を誇張したり、実際よりも誇大に表現したりする。「この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と、日本の立候補ファイルには記されていた▼準備の時間は7年あった。有識者会議でも暑さ対策を検討してきた。導き出した答えは「打ち水のほか、浴衣、よしずの活用など日本ならではの対策を盛り込み、観光PRにも生かしたい」というものだ▼猛暑による熱中症被害だけでなく、ゲリラ豪雨や大雨による洪水被害なども気がかりだ。〝異常気象は、もはや異常ではない〞のだから、「想定外」などという言い訳は通用しない▼「あの日」以降も、大地震や火山噴火、大型台風などの自然災害が繰り返し襲ってきた。〝復興五輪〞に震災の教訓は生かされるのか。震災から9年、約4万8千人がいまだに避難生活を続けている。