食中毒発生で営業停止

休業補償金の税務


 気温や湿度が高くなったこの時期は、食品の衛生管理に細心の注意を払う必要がある。もし飲食店で食中毒が発生してしまったら、経済的に大きな損害を被ることはもちろん、築き上げてきた店の信用が一瞬で失墜してしまう。

 

 不幸にも食中毒が発生してしまい、被害がおさまるまで営業を停止しなければならなくなったとき、保険会社から休業補償金を受け取ったとする。経営者としてはせめてこの休業補償金だけでも税金面の負担を緩和したいところだが、この金銭の受け取りは、法人所得や事業所得として計上しなければならないので非課税にならない。

 

 一方、従業員が業務上の理由による疾病や負傷で働けなくなり、療養のためにしばらく休む場合、労働基準法では経営者に「休業補償」を支払うように定めているが、所得税法ではこの補償金は所得税の対象にしな いこととしている。

 

 なお、就業規則に基づき、労働基準法で定める割合を超えて支給される付加給付金についても、民法上の損害賠償に相当する給付であるとされるため、心身に加えられた損害への慰謝料として非課税所得になる。

 

 なお、平成27年中の食中毒事件は1202件、患者は2万2718人、死者は6人だった。(2016/06/06)