会社法と法人税法では、税務書類はおおむね原則7年、重要な決算書類などについては10年という保存期間を定めている。これらをすべて紙で保存するとなると、保管場所を確保するためのコストだけでもばかにならない。
税務書類を電子保存するための要件を定めた「電子帳簿保存法」が施行されたのは1998年のことだ。その後、幾度かの改正を経て、2016年度税制改正では、とうとう領収書のスマホ撮影データが税務署類として認められるに至った。
もちろんスマホでの撮影データを税務書類として利用するためには、保存方法や管理などには厳しい要件が定められているが、じつは中小企業にだけ認められている緩和措置があり、さほど高いハードルではない。
常時使用する従業員の数が20人(商業またはサービス業に属する事業を主に営む事業者については5人)以下の事業者については、大企業であれば社内担当者が行うべき定期的な検査を顧問税理士が担当することで、社内でのチェックが不要になる。
つまり領収書を受け取ったらその場でスマホ撮影し、税理士がチェックをして問題がなければ、そのまま原本の破棄が可能となるわけだ。近年では経理ソフトを提供する多くのベンダーが、領収書のスマホ撮影に対応している。
画像データにタイムスタンプを自動的に押してくれたり、送信された画像データからOCR(光学文字認識)によって記載内容を読み取り、仕訳伝票を作成してくれたりといった機能も用意されているようだ。これらの新たな技術を組み合わせることで、劇的に事務コストを減らすことができるかもしれない。(2018/10/11)