複式簿記によって帳簿を作成し、その記帳をもとに税務申告する青色申告は、面倒な記帳を義務付けるかわりに数々の特典もあることから、所得300万円以下の事業者では約半数が、1千万円以上では8割近くが選択している。
ただ、青色申告は税務署長に申請すれば永遠に続く特典というわけではない。帳簿等の保管不備、申告期日の超過、無申告、税務調査での非提示、隠ぺい、仮装などがあれば、承認取消もありえる。
青色申告の取り消しの対象となる事業年度は、税務調査の対象となった直近の事業年度に限らない。そこから遡って取り消し事由が生じていることが判明した場合には、その事業年度から取り消されることになる。
承認が取り消されたあとも青色申告を望むのであれば、帳簿などの是正が必要となる。しかし、承認取り消しの通知を受けた日以後1年間は、申請書提出が基本的には認められない。したがって、承認の取り消しを受けてしまうと、少なくとも2期の事業年度は青色申告が認められないこととなる。
個人事業者の場合、事業専従者への給与が必要経費となる「青色事業専従者」が認められなくなるため、承認取り消しのデメリットは大きい。なお、青色申告事業者であることは相続などによって承継されないため、親の事業を子が承継した場合でも、そのまま子に引き継がれるものではない。事業を承継した子が改めて「青色申告の承認申請書」を提出する必要があるので忘れずに手続きしたい。(2018/11/01)