離婚する際の財産分与では、あげた側に税金がかかることもある。分与する財産が住宅や土地などの不動産で、当該財産の価値が取得時よりも上がっているときだ。
税負担を抑えるには2つの方法を覚えておきたい。まずは「居住用財産の譲渡所得の特例」を活用することだ。この特例は、自分が居住している住居を売却したとき、3千万円までを譲渡所得から控除できるというもの。ただし別荘や投資用のマンションなど、自宅以外の不動産には適用できないことに加え、夫婦間や親子間の譲渡には適用されない。つまりこの特例は離婚後に使わなければ意味がないということだ。
2つ目は、「贈与税の配偶者控除の特例」で、20年以上婚姻関係を続けている夫婦間で住宅を譲り渡すときに2千万円までを非課税とするものだ。通常の暦年贈与の非課税枠と合わせて2110万円まで税金がかからないことになる。前者とは逆に、こちらは配偶者でなければ適用されないため、離婚後には使えない。
離婚前にしか使えない配偶者控除と、離婚後にしか使えない譲渡所得の特例。2つの方法で、財産分与にまつわる税負担を抑えられることになる。(2020/08/31)