印紙税は、契約書などの文書に記載された金額に応じて税率が決まる。しかし金額が同じでも、記載方法によって税額が大きく変わることがあるので注意が必要だ。
印紙税法では、契約書に消費税額等が区分記載されているもの、または税込価格および税抜価格が記載されているものは、その消費税額を印紙税の記載金額に含めないと規定されている。消費税額等が区分記載されているケースとは、「譲渡金額1080万円、うち消費税額等80万円」と書いてあるような場合だ。
また「税込価格および税抜価格が記載されているもの」というのは、消費税額等を含む金額と含まない金額を併記していることを指し、「譲渡金額1080万円、税抜価格1000万円」というような記載がこれにあたる。
このように消費税額がはっきりしていると、印紙税は、その契約書に記載されている本体価格1000万円にかかる。しかし消費税額がはっきりしない記載、例えば「譲渡金額1080万円(税込)」や「総額1080万円」のような記載では、1080万円に印紙税がかかってしまうので注意が必要だ。
来年10月には消費税率が10%に上がる予定で、消費税を分けるか分けないかによる印紙税の差額もさらに広がることになる。特に不動産売買などの大きな取引では消費税額もばかにならないため、万が一にも記載を省略することのないようにしたい。
なお、印紙の貼り忘れによる過怠税は、納めなかった印紙税額の3倍と非常に重いものとなっている。印紙税は「文書」にかかる税なので、税率が10%に上がるタイミングをきっかけに、そもそも課税対象とならない電子契約書の導入を検討する時期なのかもしれない。(2018/12/19)