遺言より確実な死因贈与

契約の撤回は実質的に不可


 介護をしてくれている人に財産を確実に残すために、遺言を書いておくケースがある。遺言で財産を渡すことを伝えれば、日ごろの感謝の気持ちも伝わるだろう。

 

 しかし、遺言書は何度でも書き換えることが可能であり、遺言書の封を切るまで自分の苦労に見合う財産をもらえるかどうかは分からない。財産を残す側としても、相手が介護を将来にわたって続けてくれる保証はなく、その貢献度合をどれだけ遺言に反映すべきか計りにくい。

 

 財産の受け取り手に不安を抱かせないためには「死因贈与」が使われる。死因贈与は双方の合意に基づき、一方が死亡したら贈与が行われる契約を結ぶというもの。死因贈与では一定の決まり事を履行した場合に贈与が成立するという取り決めが可能であるため、「最期まで介護をしてくれた場合に贈与する」といった条件を契約に盛り込むことで、介護をする人が確実に財産を受け取れることになる。

 

 ただし、死因贈与の契約を一度結ぶと、双方の合意や契約不履行がない限り契約撤回は許されない。何度でも書き直すことができる遺言以上に、死因贈与の契約は慎重になる必要があるだろう。(2019/01/10)