身寄りがない人が死亡し、財産の受け取り手がいない場合、家庭裁判所が利害関係人もしくは検察官の申立てで「相続財産管理人」を選任する。管理人は被相続人の債権者に相続財産から弁済し、残りが国庫に納まることになる。最高裁判所によると、国庫に入る財産の額は毎年400億円にもなるそうだ。
ただし、相続人がいない状況であっても、必ずしも国に財産が移るわけではない。相続人がいない被相続人の財産は、被相続人と生計を一緒にしていた人や介護・看病をしていた人などの「特別縁故者」に該当する人であれば受け取れる。
代表的な特別縁故者は内縁の妻や夫だ。裁判所に特別縁故者と認められれば財産を受け取ることが可能となる。
内閣府によると、ここ数年の婚姻数は毎年60万組台で推移しているという。第1次ベビーブーム世代が25歳前後の年齢を迎えた昭和45〜49年の年間100万組と比べると、未婚率は大幅に上がっている。
その一方で、法的な婚姻にこだわらない「内縁」関係や事実婚のカップルは増加している。そうしたケースでは、遺言の作成や養子縁組など、事前の対策が重要性を増すことになりそうだ。(2018/08/07)