得意先を招待して会社の創立周年記念式典を盛大に開催したときに、会社が負担した宴会費、交通費、記念品代の総額(式典費用)が1千万円だったとする。これは、税務上では「交際費」として計上しなければならない。
では、得意先から祝儀金100万円を受け取った場合、交際費は式典費用の一部を相殺して差額の900万円とすることができるのだろうか。
交際費が無制限に経費になると、会社が過剰・過多な接待で利益圧縮を図ってしまい、税収減少につながる可能性があると国が考えているため、交際費は原則的に損金算入できない。会社としてはできるだけ交際費計上を減らすことが経営上、必要になってくる。
しかし冒頭のケースでは、交際費の計算上、式典費用から祝儀金を差し引くことはできない。全額の1千万円が交際費となる。祝儀の100万円は雑収入として計上する。なお、祝儀の支出は式典に参加した得意先側の交際費として計上されることになる。
交際費は原則として損金算入できないが、中小企業は年間800万円までの交際費の全額を損金に算入できる特例と、「飲食費の50%」を上限なしで損金算入できる特例のうち、税負担をより抑えられる制度を選択適用できる。(2016/06/10)