盗難被害を受けたときは、税務上、一定の所得が控除される「雑損控除」を適用できるが、親子や兄弟姉妹のあいだでの窃盗には、雑損控除は適用されることが少ない。親族間での一部の犯罪行為やその未遂罪は、刑罰免除あるいは親告罪となる「親族相盗例」になり、窃盗が罪に問われないことが多いためだ。
ただし、親族だから適用できないという規定はない。どうしても雑損控除を適用したければ、「警察が盗難にかかる被害届を受理した」といった証拠を残すことで適用される可能性がある。
親族相盗例は、家庭の財産を占有している父親(家長)の「懲戒権」で親族を罰するべきという明治時代の考え方を基に設定されたといわれる。家族それぞれが財産を持つようになったいま、その妥当性が問題視されることもある。(2016/07/01)