親の事業を無報酬で手伝う

相続は「寄与分」で増額


 父親が営む農業を長女が長年無報酬で手伝っていた。長男は遠く離れた場所で別の仕事をしており、親とはほとんど顔を合わせていない――。

 

 この二人が同じ相続分を受け取る権利があるとすると、長女としては「お父さんの財産の一部は、わたしの無償の労働があってこそ築けたものなのに…」と不公平感を覚えることになる。そこで、被相続人の事業に関する労務を提供して財産形成に関わった人は、その度合いに応じて相続分が上乗せされることが法律で決まっている。この増加分を「寄与分」という。

 

 寄与分の額は、遺産分割協議など相続人同士の話し合いの場で決める。話し合いで双方の合意が得られなければ、家庭裁判所の判断で寄与分を決める。親の事業を無報酬で手伝っていた人のほか、親の事業が経営難に陥ったときに資金援助した人や、寝たきりの親を介護してきた人には寄与分が認められる。ただし、夫婦間や親子間の通常の助け合いは対象にならない。(2017/01/17)