経営者のAさんには、「相続権を放棄して父の遺産を直接息子に相続させたい」という思いがあった。そこで息子を、法定相続人に代わって相続する「代襲相続人」にすることを考えたが、このような相続は税法上可能なのだろうか。
代襲相続人になれるのは、相続人になるはずだった人が相続開始以前に死亡したときなど一定のケースに限られる。相続人の死亡以外では、相続人が被相続人に対する殺人や殺人未遂の罪で刑罰を受けているときや、相続人が被相続人を虐待などの非行で苦しめ、それを理由に被相続人が生前に「相続人の排除」という手続きをとったときだけとなる。つまり、自分の代わりに息子に遺産を受け取ってほしいという思いだけでは代襲相続人を指定できない。
Aさんの息子は代襲相続できず、仮にAさんが相続時に財産をそのまま息子に渡すとすると、息子には贈与税が課税される。なお、相続放棄をしたときは、相続の順位や相続分の計算はAさんを除外して判断する。(2016/12/12)