被相続人が相続開始直前に住んでいた宅地は、評価額の一定割合が減額できる特例(小規模宅地の特例)の適用を受けられることがある。
では、被相続人が自宅で息を引き 取るのではなく、病院や老人ホームで人生の最後を迎えたときにも、この小規模宅地の特例が適用されるのだろうか。
老人ホームで死亡すると、被相続人は死亡時に自宅には居住していなかったのだから、厳密には前記の「相続開始直前に居住している」という要件を満たさないことになる。
しかし国税当局は、被相続人が相続開始直前に要介護認定等を受けていた、もしくは被相続人が特別養護老人ホーム等に入居等していたといった状況が認められれば、被相続人が居住用に使っていた宅地に該当するとみなし、特例を適用できるとしている。
わが国の高齢者人口(65歳以上)は平成27年9月時点で過去最高の3384万人。介護問題は誰にとっても避けて通れない課題となっている。(2016/06/12)