総額表示の土地と建物

「借地権付き建物」は注意


 土地や建物を売却すると、購入時の「取得価額」との差益に譲渡所得税が課される。正確な税額を計算するためには取得価額を把握することが必要だが、土地付き建物などの売買契約書を実際に見てみると、土地と建物を合わせた「総額」で表示されていることが多い。

 

 「総額表示の物件価格」から土地・建物それぞれの価格を算出するには、固定資産税評価額を使う。土地・建物それぞれの固定資産税評価額に応じて案分する方法だ。また、「借地権付き建物」の場合には、建物の取得価額は時価相当額となる。

 

 借地権付き建物については、「その取得価額の総額のうち、借地権の対価と認められる部分がおおむね10%以下であれば、強いてこれを区分しないでもよい」というルールもある。例えば借地権付建物の売買価格が1億円で、計算の結果、借地権の評価が1千万円以下であれば、借地権と建物とに案分せず、1億円全額を建物の取得価額とすることができる。(2021/05/12)