「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」とは、結婚、出産、育児のための資金として直系の子や孫などへ一括贈与したときに、一定額までが非課税となる制度だ。受贈者1人あたり1千万円(結婚資金の場合は300万円)が上限となっている。
実際にどのような費用が対象になるかというと、結婚費用であれば、結婚式や披露宴の費用、結婚をきっかけに引っ越す際の転居費用、新居の敷金や礼金、3年以内の家賃などが該当する。逆に対象とならないのは、婚活費用、エンゲージリング購入費、新婚旅行代などだ。
出産費用としては、人工授精などの不妊治療代、妊婦健診の費用、出産までの入院代や分娩代、産後検診などが対象となるが、海外に渡航しての不妊治療や処方せんに基づかない医薬品代などは対象にならない。
育児費用としては、子の治療費、幼稚園や保育園への入園料や保育料、園内行事への参加費などが対象となる。
贈与を受ける側の子や孫には所得制限が設けられている。今年4月以降に行われる贈与については、贈与を受ける前年の所得が合計1千万円を超えていると、非課税特例の適用は受けられない。そうなると、「所得のある自分ではなく妻が私の実家から贈与を受ければいい」と考えるかもしれないが、それはNGだ。
この特例の対象となるのは、あくまで〝直系〞の子や孫への贈与のみ。つまり配偶者の実家からの贈与は、非課税とはならない。同様に、叔父や叔母、兄弟からの贈与も対象とはならず、あくまで非課税で贈与できるのは父母(養父母)、祖父母、曾祖父母だけと覚えておきたい。(2019/10/11)