「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」は、結婚、出産、育児のための資金として直系の子や孫などへ一括贈与したときに、受贈者1人あたり1千万円(結婚資金の場合は300万円)までが非課税になる制度だ。
結婚式や披露宴の開催費用、引っ越し代などの転居費用、新居の敷金や礼金、3年以内の家賃などが該当する。対象とならないのは婚活費用、エンゲージリング代、新婚旅行代などだ。
出産費用としては、人工授精などの不妊治療代、妊婦健診の費用、出産までの入院代や分娩代、産後検診費用などが対象となる。だが、海外に渡航しての不妊治療や処方せんに基づかない医薬品代などは対象にならない。
育児費用としては、子の治療費、幼稚園や保育園への入園料や保育料、園内行事への参加費などが対象となる。治療費のうち処方せんに基づかない医薬品代などは含まれないので気を付けたい。
ただし、贈与を受ける側の前年の所得が合計1千万円を超えていると、非課税特例の適用は受けられない。「それなら所得のある自分ではなく、妻が私の親から贈与を受ければいい」と考えるかもしれないが、それはNGだ。この特例の対象となるのは、あくまで〝直系〟の子や孫への贈与のみ。同様に、叔父や叔母、兄弟からの贈与も対象とはならない。あくまで非課税で贈与できるのは直系尊属である父母(養父母)、祖父母、曾祖父母だけと覚えておきたい。(2021/03/15)