粉飾決算で過大納税

還付まで5年


 粉飾決算とは、悪化した財務状況を隠し、まるで経営が健全であるかのように見せかけた決算にすることをいう。偽りの数字をベースに今後の事業計画などを示して株主や銀行筋を騙し、さらに資金を出させるのだから倫理上からも極めてタチの悪い行為だ。誤った統計資料をもとに増税をゴリ押しする政権も似たようなものかもしれない……。

 

 さて、その粉飾だが、結果的に利益を多く見せる行為であるため、税務署には本来より多くの儲けを申告していることになる。つまり過大納付になっている状況だ。

 

 粉飾がバレたあとに、納め過ぎた分の還付請求をするとどうなるかというと、これはすぐには認められないことになっているという。通常なら、税金の過大納付分は、国税当局が定める手順を踏めばすぐに還付を受けられる。しかし、故意に粉飾をした会社にもこのルールを適用すれば、利益を本来より上積みした決算書(申告書)をつくって銀行から有利な融資を受け、その後で税務署に請求して還付金を受け取るといった〝裏技〞が使えることになってしまう。

 

 そのため、粉飾などの仮装経理をした場合には、納め過ぎた分をすぐには受け取れず、5年程度をかけてようやく取り戻せるというルールが適用される。粉飾に手を染めれば、世間からは冷たい目で見られ、株主は離れていき、銀行の信用を失い、多く納めた税金はなかなか返してもらえないと何重苦にもなる。ウソの資料は御法度ということだ。(2019/03/12)