粉飾決算で過大納付した税金

すぐには戻ってこない!


 業績が好調なように見せかけるため、ウソの書類を提出して銀行から融資を受けていた会社社長が、詐欺の容疑で逮捕された、などといったニュースを耳にしたことがあるだろう。

 

 悪化した財務状況を隠し、まるで経営が健全であるかのように見せかける。こうした「粉飾」行為は、利益を多く見せるものであり、税務署には実際よりも多くの儲けを申告している。すなわち「過大納付」になっている状況だ。

 

 そこで、粉飾決算をした経営者としては、誠に身勝手な話とはいえ、やはり納め過ぎた分を取り戻したいというのがホンネだろう。通常、税金の過大納付分は、国税当局が定める手順を踏めばすぐに還付を受けられることになっている。

 

 しかし、故意に粉飾をした会社にもこのルールを適用するとなると、利益を本来より上積みした決算書(申告書)をつくって銀行から有利な融資を受け、その後で税務署に請求して還付金を受け取るといった〝裏技〞が使えることになってしまう。

 

 そのため、粉飾などの仮装経理をした会社に限っては、5年程度をかけてようやく取り戻せるというルールが適用されることになる。粉飾で金融機関の信用を失うと資金繰りに難儀することになるが、税務署も違法行為に手を染めた会社に対しては温情をかけてくれないようだ。(2018/01/12)