「税務調査」には様々な種類がある。それぞれの調査ごとに、申告漏れなどの問題を指摘される確率もくっきり分かれていて、税務署の「本気度」がうかがえるものとなっている。
最近増えているのは、文書や電話によって税務署への来署を依頼したうえで申告を修正させる「簡易な接触」と呼ばれる手法だ。国税当局が所得税について行った税務調査のデータによると、1年間で57万7千件もあり、全税務調査の9割を占めている。とりあえず怪しいところには「文書」を送っておけというスタンスなのか、この「簡易な接触」によって何らかの問題を指摘されたのは6割と、半数近くは〝無傷〞で逃れているようだ。
実際に調査官が現場までやってくるとなると、指摘率はかなり上がる。現地調査のうち最も軽い、半日程度で終わる「着眼調査」でも、何らかの問題が指摘される確率は74%だ。さらに本格化し、終日から数日がかりになる「一般・特別調査」では、実に87%が問題を指摘されている。
もちろん追徴税額も調査によって大きく変わる。「簡易な接触」の1件当たりの平均的な追徴税額は5万円だが、これが「着眼調査」になると31万円になり、「一般・特別調査」になると154万円に膨らんでいく。足を運ばれた時点で4人に3人、調査に半日以上かかるようなら10人に9人が何らかの指摘を受け、これだけの追徴課税を食らうわけだ。
その一方で、「一般・特別調査」でも13%は何の指摘もされずに切り抜けていることは見逃せない。やはり大事なのは、顧問税理士と連携を取った上での税務調査対策だろう。上記の税務調査の種類は、あくまで国税内部での分類であり、調査の通知で「今回は着眼調査です」などと教えてもらえるわけではない。どんな調査が来ても怖くないよう、日頃から全力で対策を練っておきたい。(2018/01/11)