「宗教法人は法人税を納めていない」などといわれることがあるが、神社などの宗教法人の収入のすべてが非課税というわけではない。不動産販売業や金銭貸付業など34種類ある「収益事業」から生じた所得は課税対象だ。
物品販売業も収益事業のひとつで、その所得には課税される。しかし、お守りやおみくじ、お札の〝販売〞は、売価と仕入原価の関係からみてその差額が通常の物品販売業の売買利潤ではなく、実質的な喜捨金(神社などへの寄付)と判断され、収益事業とはみなされない。
では、宗教法人である神社が、額面1千円のQUO(クオ)カードに「合格祈願」や「交通安全」、「家内安全」の文字と神社名を印刷代250円で印刷し、境内で1500円で販売したときはどうだろうか。
このケースでは、売価1500円と原価1250円の差額(250円)は通常の物品販売業の売上利潤とみなされ、喜捨金ではないと判断される。そのため、お守りやお札と同じ場所で販売されたとしても課税対象になる。(2016/5/18)