会社が経営者に無利息で金銭を貸し付けると、本来なら払うべき支出を免れることで経営者に利益が発生したとみなされ、利率を1・8%として計算した「利息相当分」が報酬として給与課税される。
無利息ではなく低利息で貸したときは、1・8%と貸付利率との差額分が課税対象だ。ただし、無利息あるいは低利息の貸し付けであっても、経営者が災害や病気などで急な生活資金が必要となったときは、貸付金額や返済期間が合理的と国税当局に認められる範囲であれば課税されない。また、1・8%と貸付利率による差額分が年間5千円以下なら給与と判断されることはない。
この利率(1・8%)は年ごとに設定される。平成25年以前は4%台だったが、26年から一気に1%台に下げられた。また、会社が銀行から借り入れたお金を社長に貸したのであれば、利息相当分はその銀行の利率で計算される。
なお、会社がお金の貸し借りに関する契約書を交わさずに経営者に長期間の貸し付けをすると、貸付金は税務署から賞与と判断され、経営者個人に所得税と住民税が追徴課税されるおそれがある。
このため、経営者が自社からお金を借りるときには、取締役会の議事録と金銭消費貸借契約書を作成することが大切だ。作成した契約書の内容に基づいて返済していけば、賞与と判断されるリスクは低くなる。(2016/10/07)