土地や建物の売却時に得た所得には所得税が課税されるが、連帯保証人として他人の借金返済のために売却したのであれば譲渡額に所得税が非課税になる。
この特例は経営者が連帯保証人として自社の借金を肩代わりするときにも利用できるが、保証人が自宅などを処分する手順によっては、本来の債務者である会社への贈与や貸し付けになり、譲渡特例が適用できないこともある。
特例を利用するためにはまず、保証債務を履行するという体裁が保たれていなければならない。
経営者が保証債務を履行するために自宅を売却したものの、自宅を譲渡して受け取ったお金につき銀行の要望に応えて定期預金を開設し、一定期間運用してから弁済に充てたというようなときは特例の対象にならない。保証債務を履行するための住宅売却ではなく、資産を形成するための譲渡とみなされてしまうからだ。
また、会社の急激な業績悪化に伴って倒産寸前の状態で保証人になったときは、事実上の贈与とみなされてしまうため、債務返済が困難になる前に保証人になっている必要がある。さらに、本来の債務者である会社に求償できない状況にあることが要件になる。(2016/10/17)