従業員が会社のお金をネコババし、私的に流用してしまうことがある。見抜けなかった会社の落ち度と言われてしまえばそれまでだが、信じていた従業員に裏切られ、お金はなくなり、対外的な評判も地に落ちるのだからまさに踏んだり蹴ったりだ。
しかしそんな状況でも、会社にはさらなるペナルティーが待っている。国税当局による重加算税の認定だ。社員が売上の隠ぺいや経費の架空計上によって着服した金額は、税務上は会社の「所得隠し」に当たる。さらに故意による「仮装・隠ぺい」とされ、加算税のうちでも最も税率の高い重加算税が課されてしまうのだ。
着服した本人に損害賠償を求める訴訟を起こしたとしても、個人で払いきれる金額ではないことがほとんどで、全額を取り戻せる可能性は低いと言わざるを得ない。着服や横領が起きないよう普段からチェック体制を整備しておくしかないだろう。(2020/03/04)