社員に奨学金や学費を支給

税金はどうなる?


 会社が社員に支給する奨学金や学費の肩代わり分は、社員に「経済的利益」があったとして給与課税の対象となるのが原則だ。だが、業務の遂行にどうしても必要な費用であれば、非課税になることもある。

 

 例えば、大学生に奨学金を無利息で貸し、入社して2年以上勤務すれば返還免除にするという契約の場合、この無利息貸付の経済的利益と返還免除益は税務上どう処理するべきなのか。

 

 給与やそのほかの対価の性質があるものは、非課税とする奨学金から除外される。ここでいう「対価の性質があるもの」には、将来の役務の提供を条件として支給するものも含まれるため、奨学金の無利息貸付にかかる経済的利益と返還免除益は、それぞれ次のようになる。

 

 まず、学費として給付される金品は給与の性質があるものを除き非課税とされているので、在学中に受ける経済的利益には課税されない。次に、入社するか否かにかかわらず貸付を無利息とするなら、社員の地位に基づいて受ける利益ではないので給与所得には当たらない。貸付を受けた人は雑所得に計上することになる。

 

 そして、奨学金は原則非課税所得だが、「給与やそのほかの対価の性質があるもの」は課税対象になる。例で挙げたケースでは、返還が免除されるのは2年以上勤務した人に限られるため、奨学金の返還免除益は社員の地位に基づいて受けるものとなるが、「通常の給与に加算して受けるもの」とされるので給与課税されないことになる。

 

 なお、社員の子どもの就学のための奨学金として支給される金品は、給与の一部の「家族手当」または「教育手当」とみなされるため、社員に対する給与として課税されることになっている。たとえ子どもに直接支給していても社員への給与として源泉徴収しなければならない。(2020/09/25)