相続時精算課税の注意点

土地の贈与には向かないことも


 相続時精算課税制度は、生前に贈与を受けた財産について、親や祖父母の死亡時、相続財産に合算して最終的に相続税で清算する制度だ。

 

 生前贈与の非課税枠が2500万円あり、財産を何回贈与されてもその枠内なら非課税となり、2500万円を超えても一律20%の贈与税で済む。そして相続発生の際にも贈与時点での評価額で税額を算出するため、贈与から相続までに値上がりする可能性が高い財産を贈与することで相続税対策にもなる。

 

 だが、土地の贈与には他の財産にないデメリットもある。相続税対策では欠かすことのできない「小規模宅地等の特例」は、相続時精算課税を利用した贈与には適用できない。また生前に贈与を受けた土地や建物などは物納にも使えない。

 

 さらに、相続による土地の取得であれば税率0・4%で済む登録免許税が2・0%で課税され、相続時には免除される不動産取得税も課されてしまう。こうした諸々の負担増により、相続で引き継ぐよりトータルで損をする可能性もあるので、制度利用の際にはどちらが得になる可能性が高いかを、よくよく検討したいところだ。(2018/09/04)