残してくれた財産よりも借金のほうが多ければ、その両方を放棄する「相続放棄」という制度がある。被相続人の死を知った日から3カ月以内に家庭裁判所へ「相続放棄申述書」を提出し、認められればその相続についてはじめから相続人ではなかったものと見なされる。
ところで、被相続人が契約者(保険料負担者)および被保険者、相続人が保険金受取人という生命保険契約の場合、相続発生により相続人に支払われる死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となる。相続放棄しても、自分が受取人となっている保険金は受け取ることが可能だが、この場合は「相続」ではなく「遺贈」となるため税務上の取り扱いに注意が必要だ。
遺贈により取得した財産にも相続税は課税されるため、相続税の基礎控除や配偶者の相続税の軽減などは適用できるが、相続放棄して遺贈により取得した保険金の場合、生命保険の非課税枠である「500万円×法定相続人数」は適用できない。
ただし、死亡保険金でも契約形態によって相続税がかからないケースもある。契約者(保険料負担者)と保険金受取人が同じであれば、保険金受取人の一時所得として所得税の課税対象となる。(2018/06/21)