相続人が刑務所などに収監中であっても、遺産分割協議への参加は必要だ。塀の中にいるため、実際の協議の場には参加できないので、協議書への署名で意思表示することになる。
しかし受刑者は、実印や印鑑証明を用意できない。不動産登記に使用する遺産分割協議書には、通常、相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付しなければならない。そこで、受刑者本人が拇印を押捺した委任状を、刑務所長に「奥書証明」してもらうことになる。この委任状によって遺産分割協議書の作成が進められる。
ただし、受刑者との連絡手段は郵便、電報などに限られる。さらに、その内容が刑務所側に逐一チェックされるため、手続きにはかなりの時間がかかるようだ。(2020/01/24)