生前贈与加算とは?

見落としがちな3つのポイント


 2015年の相続税法の改正以降、少子高齢化の影響もあって贈与に関心を向ける人が増えている。自分が死んだとき、子どもに多額の相続税がかかるのは気の毒だと思い、年間110万円まで非課税となる贈与を繰り返すことも多いだろう。だが、贈与に関しては「生前贈与加算」という制度があることを覚えておきたい。

 

 生前贈与加算は相続開始前の3年間、つまり自分が死んだ日からさかのぼって3年以内の贈与が、相続財産に加算される制度だ。贈与税の暦年課税制度の対象となる贈与は、相続税の申告の際、相続財産に加算しなくてはならない。

 

 生前贈与加算で注意しておくべきポイントは次のようなものだ。まずは贈与税額が0円でも加算しないといけないということ。相続開始前3年以内の贈与というと110万円を超えた額をイメージする人もいるようだが、贈与税のかからない110万円以下でも加算対象となるので忘れないようにしたい。もちろん、親から子への小遣い程度のものや仕送りなど、扶養義務者による生活費や教育費で「日常生活に必要」と認められるものは除かれる。

 

 次に相続時精算課税制度の適用について。相続時精算課税の適用を受けた贈与も相続財産に加算するものの、その処理はあくまでも別モノだ。また、相続で取得した財産がなかったとしても、相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産がある場合には、生前贈与加算が必要となる。簡単そうにみえて実は細かい目配りが必要な制度なのである。(2020/06/15)