狩猟税の減免でもハンター不足

農家の害獣被害深刻化


 鳥獣捕獲員を対象とする狩猟税の減免措置が、地方税法の改正で5年間延長された。狩猟税は都道府県知事の免許を受けた狩猟者にかかる地方税で、税収は鳥獣の保護および狩猟に関する行政の実施費用にあてられる目的税だ。

 

 害獣による被害防止の銃猟やわな猟に対する免税など、現行の措置を延長して、野生鳥獣を捕獲する担い手を確保することで、農作物に甚大な被害をもたらしている野生鳥獣の減少につなげる狙いがある。

 

 狩猟税は銃猟(装薬銃)で年間1万6500円、わな猟・網猟で同8200円、銃猟(空気銃)で同5500円となっている。

 

 環境、農水両省は13年度から10年間で、ニホンジカとイノシシの生息数を半減させる目標を掲げている。環境省によると、北海道を除く全国の鹿の推定個体数は、16年度で約270万頭。イノシシは約90万頭。17年度の野生鳥獣による全国の農作物被害は、約164億円に及んでいる。

 

 減少傾向にはあるものの、11道府県では前年度を上回るなど、依然として農家への被害は深刻だ。こうしたなかで政府も害獣駆除のための方策に力を入れるが、肝心の狩猟者が不足しているのが大きな課題となっている。

 

 1975年に50万人だったハンター(第一種猟銃免許所持者)は、40年後の2015年には5分の1の10万人にまで減少し、高齢化も進んでいる。税金の減免措置の効果もあってか16年には多少回復するが、まだまだ十分とはいえない。

 

 環境省は、さらに踏み込んで23年度までに狩猟税の廃止を求め、同年までに有害獣であるイノシシとシカを半減させる目標を掲げている。深刻な農作物への被害を考えれば、税の減免に加えて補助金の支給を増やすなどの対策も必要かもしれない。(2019/09/06)