海外赴任社員の生命保険料

会社負担時の税務


 社員を海外に派遣するときには、会社はさまざまなトラブルの発生を想定し、国内の社員とは別のリスクヘッジ策を講じることがある。

 

 海外へ派遣した社員が不慮の事故により大けがを負い、さらには命を落とすおそれがあることも踏まえ、会社の負担で生命保険契約をすることが多い。

 

 海外赴任社員の生命保険料を会社が負担する一方で、国内で働く社員の保険料を負担していないときは、海外社員への負担分は給与課税の対象になる可能性がある。不明なときは税理士や税務署に相談して会計処理するようにしたい。

 

 一般的な生命保険の税務だが、会社が社員を被保険者、保険金受取人を社員の家族とする定期保険を契約した場合、会社が支払う保険料は全額損金となる。全社員を対象としているのであれば、会計上は「福利厚生費」として処理する。

 

 しかし、一部の役員や社員だけを加入対象としているときは、その役員、社員が経済的利益を受けているものとみなし、「給与」として源泉所得税の徴収をする。海外赴任社員だけを対象にしたときは一部の社員だけに経済的利益があるとみなされ、給与課税となる。

 

 なお、社員が海外で貴金属を盗まれたときには、国内での被害と同様に、社員は所得税の控除が受けられる「雑損控除」を適用できる。被害の証明が必要であるため、現地警察が被害届を受理したといった事実関係の証明書は必ず保存しなければならない。(2016/08/01)