海外出張のついでに観光

旅費や渡航費はどうなる?


 グローバル化が進み、中小企業でも海外出張が一般化してきた。国内出張と比べると経費もそれなりにかかるが、業務上必要なものであり、必要と認められる範囲内の支出であれば、原則的に損金算入が認められている。

 

 しかし業務を遂行する上で必要でない行程が含まれていたり、業務に必要な支出であっても高額過ぎたりすると、その部分の支出については給与として取り扱われる。

 

 とはいえ、せっかく海外に行くのだから少しくらいは観光もしたい。出張に合わせて休暇を取りたいと考えるのも仕方ないだろう。そうした公私の予定が混在する海外出張では、具体的に旅費をどのように処理したらよいのだろうか。

 

 業務遂行上必要と認められる旅行と、認められない旅行とを併せて行った場合には、その渡航にかかった旅費を「業務遂行上必要と認められる旅行の期間」と「認められない旅行の期間」との割合で案分する。そして業務遂行上必要と認められない旅行にかかる部分の金額についてのみ、渡航者に対する「給与」として扱う必要がある。

 

 具体的には一週間のうち5日を仕事、2日をプライベートで過ごしたなら、渡航費も5:2で分け、2の方を給与とするといった処理を行うことになる。ただし、出張の目的が特定の海外取引先との商談や契約締結である場合など、直接会いに行くこと自体が業務遂行上必要なのであれば、その往復の旅費については「業務遂行上必要と認められるもの」として渡航費自体を案分する必要はない。旅費全体から渡航費を除き、残額について案分計算の対象とする。

 

 仕事のついでに観光というのは国内外にかかわらず、よくある話だ。特に海外出張ともなれば仕事の合間にご当地グルメや観光などを楽しみたくなるものだが、税務上では、海外出張にかかった費用を「仕事」と「観光」にしっかり分けて取り扱いたい。(2018/05/14)